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リウマチ患者さんが摂りたい栄養素

2023/02/15?Knowledge

タイトル
リウマチ患者さんが摂りたい栄養素
検証状況
Work In Progress
URL 名
RA-SME2-1
概要
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内容
  • 関節炎症抑制が期待できる「ω-3(オメガスリー)系多価不飽和脂肪酸」
  • 骨粗しょう症予防に役立つといわれている「カルシウム、ビタミンD、ビタミンK」
  • 貧血予防のために摂りたい「鉄、ビタミンB群」

どんな栄養素を摂ったらいいの?

リウマチは免疫の異常により、全身の多くの関節に炎症が起こります。また関節に炎症が起きるだけではなく、貧血や骨粗鬆症などの合併症を伴いやすい全身性の病気です。そのため、はじめに①関節における炎症の抑制②合併症の予防(貧血、骨粗しょう症)―への働きが期待できる栄養素1)をふだんの食事に上手に取り入れるコツをご紹介したいと思います。

1)佐藤和人・著,機能性食品と薬理栄養,4(6),361-365,2008

関節炎症抑制が期待できる「ω-3(オメガスリー)系多価不飽和脂肪酸」

近年、リウマチに対して「ω-3系多価不飽和脂肪酸」を摂ることが、関節炎の抑制に効果的であるという研究結果が報告されています1)。ω-3系多価不飽和脂肪酸とは、植物や魚の油に多く含まれる脂肪酸(脂肪の構成要素)で、体の中で合成できず、食べ物から摂らなければならないため必須脂肪酸と呼ばれています。ω-3系にはエゴマオイルやアマニオイルなどの植物油に多く含まれるα-リノレン酸、いわしやさばなどの魚の油に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などの脂肪酸があります。

1)佐藤和人・著,機能性食品と薬理栄養,4(6),361-365,2008

おいしい献立&調理のコツ

関節における炎症の抑制作用が期待できるω-3系多価不飽和脂肪酸ですが、熱や光、空気で酸化しやすいため調理時には注意が必要です。

そのため、DHAやEPAを含む魚は、刺身やカルパッチョなど、生で食べるのがベストな食べ方といえるでしょう。お刺身は、カットして売られているものもあります。包丁を使わない一品料理にもなるので、おすすめです。DHA、EPAを含む魚は加熱調理をする場合はできるだけ100度以下で調理をするようにしてください。

α-リノレン酸はアマニオイルやエゴマオイルなどの植物油に多く含まれています。α-リノレン酸も熱に弱いので揚げ物などの高温調理は避け、料理に使うときは常温で使用するようにしましょう。献立に取り入れるコツとしては、サラダなどの料理の仕上げにひとふりする、などがおすすめです。例えば、エゴマオイルなら毎日小さじ2分の1くらいを料理にかけるだけです。クセがないので、料理の味を邪魔しません。

骨粗しょう症予防に役立つといわれている「カルシウム、ビタミンD、ビタミンK」

リウマチになると、合併症として骨粗しょう症を発症するリスクが高くなるため、骨密度を保つためには、骨の材料となる「カルシウム」、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」、骨を丈夫にする働きをもつ「ビタミンK」の摂取が重要といわれています1)。カルシウムは乳製品や豆類、小魚など、ビタミンDは魚やきのこ類など、ビタミンKは緑黄色野菜、納豆などに多く含まれています。

1)佐藤和人・著,機能性食品と薬理栄養,4(6),361-365,2008

おいしい献立&調理のコツ

カルシウムが腸で吸収されるためには、ビタミンDと一緒に摂ることが大事です。カルシウムを多く含む乳製品や豆類、小魚、ビタミンDを多く含む魚やきのこ類を合わせた献立作りをするとよいでしょう。また調理時のコツとしては、カルシウムが豊富な牛乳にはうま味成分のグルタミン酸も含まれているので、料理の「おだし」代わりに使っても、とてもおいしくいただけます。

貧血予防のために摂りたい「鉄、ビタミンB群」

リウマチでは慢性的な炎症により、鉄欠乏性貧血が起きる危険が高まります。鉄欠乏性貧血とは鉄が不足することにより起こる貧血で、鉄欠乏性貧血を予防するためには、鉄分を十分に摂ることが必要です。また、造血ビタミンの1つであるビタミンB12や、免疫調節作用が期待できるビタミンB6などのビタミンB群の摂取も効果的と考えられています1)。鉄は肉類や貝類、葉野菜などに多く含まれ、植物性の食品に含まれる鉄分は良質なたんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。ビタミンB6は肉類、魚介類、くだものなど、ビタミンB12は魚介類、肉類、貝類などに多く含まれています。

1)佐藤和人・著,機能性食品と薬理栄養,4(6),361-365,2008

おいしい献立&調理のコツ

ホウレンソウなどの葉野菜は、茎の根元に鉄分などの栄養素がぎっしりつまっているので、調理時には根元もきれいにしっかりといただくとよいでしょう。また鉄分が豊富なホウレンソウは、結石の原因になるシュウ酸も多く含みます。しかし、シュウ酸はカルシウムと一緒に摂るとカルシウムと結合して、体外へ排出されます。シュウ酸を含む食材は牛乳などカルシウムを多く含む食材とあわせて調理することをおすすめします。
また鉄分を豊富に含むごまは、小さいため、吸収されにくく、すりつぶしたり、指でひねってつぶす「ひねりごま」での食べ方がよいでしょう。

ここでは、①関節における炎症の抑制②合併症の予防(貧血、骨粗しょう症)―への働きが期待できる栄養素について、それぞれの栄養素の働きやどんな食品にどの栄養素が含まれているのか、などについてご説明してきました。
しかし、これらの栄養素だけを摂取すればいいというものではありません。全体的な栄養バランスを考慮した食生活を送ることが大切だと考えます。

浜内 千波先生

浜内 千波 先生

料理研究家。栄養士。「ファミリークッキングスクール」主宰。
大阪成蹊女子短期大学栄養学科卒業。OLを経て岡松料理研究所へ入所。1980年、ファミリークッキングスクールを開校。TVやラジオ、講演会、各種料理講習会、雑誌などで活躍中。『免疫力が上がる食べ方』(マガジンハウス)など著書多数。
(2022年10月現在)