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関節を保護することの大切さと装具療法の目的

2023/03/01?Knowledge

タイトル
関節を保護することの大切さと装具療法の目的
検証状況
Work In Progress
URL 名
RA-SME8-1
概要
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内容
  • 関節の炎症を増悪させないために関節保護・ケアが重要
  • 装具療法は痛みの軽減、関節の変形予防に有用
  • 装具を使用しても改善しない場合は合っていない可能性も

関節の炎症を増悪させないためにも、関節を保護するためのケアが重要

関節リウマチでは、関節の「滑膜(かつまく)」といわれる部分に炎症が起こります。生活するなかで関節にかかる過度なストレスは、滑膜を刺激し、炎症を増悪させる要因となります1)。そのため、関節リウマチの治療では、薬物療法で炎症を抑えることに加え、関節を保護するためのケアが重要です。
また、関節リウマチの患者さんは、炎症や痛みによって動作が制限されるため、筋力が低下していることも少なくありません。筋力の低下は、関節を支える働きを低下させることにつながるため2)、日常生活での何気ない動作でも関節のストレスとなることがあります。ご自身の関節や筋肉の状態を理解し、関節を保護することを意識して生活することが大切です。

装具療法により痛みを軽減し、関節の変形を予防

装具は、関節の働きを支え、負担を軽減するために使うものです。プラスチックや金属プレートを使用した「関節を保護するもの(硬性装具)」と、柔らかい素材を使用した「関節や筋肉の機能をサポートするもの(軟性装具)」があります。
炎症が起こっている関節は、少し動かすだけでも痛くなることがあります。硬性装具は、関節を固定して動きを制限することで、痛みを軽減することが期待できます。また、炎症が起こっている関節を過度に動かすと、関節を守る靭帯や骨にもストレスがかかり、それが関節を変形させる要因になります。装具で関節を固定することは、関節の保護や変形予防にも有用と考えられます。
一方、軟性装具(写真)は関節や筋肉を支えることで、その働きを助けます。関節リウマチにより関節を支える力が低下した状態では、炎症を起こしていない関節やその周りの筋肉に負担がかかり、痛くなることがあります。機能障害がある関節に軟性装具を使用することで、ほかの関節や筋肉に負担をかけすぎないようにすることもできます。

写真 手関節用の軟性装具

関節の状態に応じて適切な装具を使用することが大切

硬性装具と軟性装具の使い分けについては、関節の炎症の程度や症状、動きの状態などによって判断します。例えば、痛みの原因にも種類があり、炎症が強いために痛むこともあれば、関節や筋肉などの機能障害により上手に動かすことができないために痛むこともあります。痛みを軽減するためには、痛みの原因に応じた適切な装具を使用することが重要となります。

装具を使用しても症状が改善しない場合などは相談を

装具療法の目的は関節や筋肉を保護することであり、そのためには関節を固定して動きを制限することが必要なときもあります。そう考えると、装具を使用した際に「動きにくくて不便」と感じることもあるといえます。装具療法を行うときには、なぜ装具を使用するのかという治療の必要性や目的を、患者さん自身が十分に理解することが必要です。
また、医療者が適切な装具を処方するためには、患者さんの痛みの原因などを正確に把握する必要があるため、どこが、どのようなときに、どう痛むのか、できるだけ詳しく伝えることも大切です。
装具を使用していても効果を感じられない場合や、違和感がある場合などは、装具が合っていない可能性が考えられます。装具が合っているかどうかは、「不便ではあっても使用していると痛みが楽になるか。あるいは動かしやすくなるか」が判断基準となります。装具を使用していても痛みが軽くならない場合や、使用することで痛みが悪化する場合などは、早めに医師やリハビリテーションのスタッフに相談しましょう。

1)水落和也 他. 日本義肢装具学会誌. 2012; 28(1):23-28.

2)日本リウマチ財団 リウマチ情報センター. 生活の注意
https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/dailycare.html (2022年10月17日アクセス)

小林 春樹 先生

小林 春樹 先生

理学療法士
あずまリウマチ・内科クリニック リハビリテーション科 科長
2008年から武蔵嵐山病院に入職。主に脳血管障害患者に対する運動療法や退院支援といったリハビリテーションを行う。
2019年より現在のあずまリウマチ・内科クリニックに勤務。
日本リウマチ財団登録理学療法士、日本骨粗鬆症学会会員、日本ボバース研究会会員
(2023年2月現在)